そんな雨の日でもいい事はきっとあるはず!
…梅雨の無い地域に住んでいるので、実感わかないのですが(汗)。
キュアホワイト愛にあふれているブログ『*white kick*』を開設されてます
大ファンの「ねこやなぎ又三郎」様に3年前に贈った文です。
『なぎさ』と「ほのか」の話。
文字数2348
梅雨入り前のぐずついたある日…
下校しようと下駄箱の所までやって来たわたし。
空を見上げていると――
ポツ。ポツ。
雨粒が一つ、二つ…
ポツポツポツ…
ザーーーー!
あっと言う間に垂れ込めた曇天が泣き出した。
『あ~あ、降ってきちゃったよ~』
『傘持って来てないのに…。』
まいったな…。
濡れて帰るのを覚悟しないといけないかも…。ガックリ肩を落とす。
――そぉだっ!!
『ねぇ ほのか、傘持ってる?』
ほんの少し遅れて外靴に履き替えたほのかに尋ねる。
カチャ。 バサッ。
無駄の無い動きで折りたたみ傘を広げ、
「もちろんよ。」
微笑む。
「今朝、天気予報で夕方からお天気崩れるって言っていたもの。」
『さっすがほのかw』
こんな時、やっぱりほのかは頼りになる。
「なぎさ。家を出る前に天気予報は確認した方がいいわよ。」
うう…。イタイ指摘。
『うん、わかっているんだけど…』
『つい、寝坊しちゃってあわてて家を出ることが多くってさ。』
「もう、なぎさったら…v」
しょうがないんだからって顔になる。
『ね、傘に入れてくれない?』
注意されてスグだし、ほんのちょっと気まずいけどお願いしちゃおう!
「ええ。いいわよv」
ごく自然な流れで一つの傘で帰ることに――
『ありがとう ほのかv』
『わたし、雨の日って好きじゃないなぁ…』
小雨ながら降り続く雨を見つつ、何気なく切り出いた。
『湿度が高くなってジメジメするし、気分が滅入るって言うか――』
『低い雲に覆われて薄暗いと、気持ちまでどんより曇り空になっちゃうよ。』
『ユウウツ…。』
どうしても好きになれそうになく、表情も暗くなってしまう。
「そう? 私はあまり嫌いじゃないわ。」
『え、なんで?』
意外な返事にほのかの顔を見る。
「だって――」
ぎゅっvv
肩を寄せ合い一つの傘に入っていたわたし達だけど、
傘を持っていたわたしの手を抱き込み、腕を組むほのか。
より密着して二人の距離が縮まる。
「こうしてなぎさと一緒の傘に入って、くっついていられるでしょv」
「傘の中なら、腕組んで歩いたって普通だものv」
「お互いに密着して体温を感じて、呼吸を合わせて足並み揃えて…」
「雨音が喧騒をかき消してくれるから、二人だけの空間って感じがする。」
「晴れていたら、できないことでしょ?」
弾む心を抑え切れないといった風だ。
『うん! そうだね。そう思うと雨の日、悪くないかもね。』
ほのかに合わせたわけじゃない。そう言いたくなったんだ。
わたしもドキドキしてるのは、ほのかの胸が当っているからじゃないよ。
「それに、雨は降るべき時に降らないと大変よ。」
「水不足になったり、作物の育成に支障をきたしてしまうもの。」
「大気の循環の一部、とても大切なことなのよ。」
まるで――え~とまな板に水? スラスラと言葉を紡ぐほのか。
とってもわかりやすい説明だった。
『科学部らしい言葉だねw』
「ちゃかさないでっ!」
語気を強くするほのかに
『ううん、関心しているんだよ。』
『自然現象のこととか、考えたことないもん』
『わたしなんて、その時その時の気分で行動して、
言われないと大気の循環とかさ、見ようと思わないから…。』
ありのまま話す。
「そんなこと…ないと思う。」
『…そうかな…。』
「…そうよ。」
実感はやっぱりないけど、ほのかがそう言ってくれるならそうかなぁ。
『………。』
「………。」
早く止んで欲しいような、そうでもないような…雨。
傘の上で踊る雨音がしなくなったと思うえば、
雲間から光の帯が射し込み、青空が徐々に勢力を拡大する。
「――あっ、ほら見て! 虹よっ!!」
ほのかが指差す方に視線を送ると空に架かるアーチ。
『わぁ~ こんなに鮮やかで大きな虹、わたし見たことないかも。』
「すごく 綺麗ねv」
『うんv』
「………」
『………』
あんぐり口開けたまま見惚れちゃう。
ぎゅっvと組んでた腕を引かれ、なんだろ?と体を傾けると
「なぎさと二人で見られて、私とっても幸福よv」
耳元でほのかが囁いた。
『――////』
頬があっつくなるよw
『わたしも幸せv』
耳をくすぐるように答えると
うふふ…と嬉しそうに笑みをこぼすほのか。
『雨が降っていなかったら、見られなかったんだね。この虹――』
『雨の日や曇りの日があるから、晴れの日が素晴らしく感じる…。』
『ほのかと一緒に素敵な虹が見られたのも雨のお陰なんだね。感謝しなくちゃv』
ちょっとしんみり…してしまった。
「私、何事も気持ちの持ちようじゃないかなぁ…って思うの。」
太陽光を受けてキラめく虹を見ながら
「嫌だなぁ…って、うつむいてばかりじゃ、幸せに気付かないで過ぎてしまうわ」
「幸せって、意外とまわりにあるものじゃないかしら。」
「――目線を変えると見えてくるもの…。」
『ほんのささいな事でも、ほのかと一緒ならキラキラ輝く。そーいうことだねっ!』
「う~ん… ちょっと違うかなぁ…」
マユを八の字にしてクスリと苦笑い。
『わたし、ほのかとちっちゃくてもいい。幸せを一つ一つ見つけて行きたいなv』
『もっともっと二人で幸せになれたらいいよねv』
「うふふ…。なぎさったらv」
「私も、たくさんの幸福をなぎさと感じていけたらいいなv」
虹は消えかけだけれど、代わりにわたし達の心を繋ぐ架け橋がかかったみたい。
「あの…、なぎさ。うち、あがっていくでしょ?」
ためらいがちにほのか。
『うん、そのつもり。』
お菓子食べながら、もっとほのかと居たい気分なんだ。
「今日おばぁちゃま、町内会のことで出掛けているの。遅くなるかも…。」
胸の前で指をもじもじさせる。
『ふ~ん …そうなんだ~。』
…ほのか、誘ってるのかな?
「…だから、遠慮しないで、ねv」
『うん。イチャイチャしよv』
「え? な、なに言い出すのよ…;;」
頬を染める。かっわいいなぁw
『じゃあ、しない?』
「するvv」
即答だった。
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そのままでもいいかなぁ…なんて気でいましたが、
やっぱり手を加えてしまいました。
オリジナルは贈った方だけのモノ。なんて言いませんが、
書き足した分返ってくどくなってやしないか心配。
後で見返すとつい気になってしまうから困ります…。
ほのか宅でのイチャイチャ続きは、みなさんの想像にお任せします!