キュアホワイト愛にあふれているブログ『*white kick*』を開設されてます
大ファンの「ねこやなぎ又三郎」様に贈った文です。
チョコレートにまつわるなぎさとほのかの話。
文字数2138
ベローネ学院女子高等部の校門から並んで出てきた、なぎさとほのか。
手にした紙袋に視線を向けて尋ねるほのか。
「ねぇ、なぎさ。今年はチョコいくつもらったの?」
「う~ん…と6つ、かな…。」
紙袋の中をのぞいて答える。
「志穂と莉奈からのも加えると8つだよ。」
「学校が違うから、今年は後輩からは無いかなぁって思ってたんだけど、
…そうでもなかったみたい。」
頬をぽりぽり掻きながら照れるなぎさ。
「そういえば、今朝、校門の所でももらってたわね。」
「………。」
チラッと校門を見てから
「…あの、私からも―…」
鞄の中に手を入れた瞬間
「せんぱぁ~~い!!」
背中に声を受け、とっさに手を引っ込めた。
「!?」
もしや?という苦笑いを浮かべて固まるなぎさ。
「…また、呼んでるみたいよ~。」
「あはは…」
乾いた笑い。
振り返るとそこに立っていたのは、親しい後輩であるひかりの友達…。
「え~と…。たば、…タバサさん? だったっけ??」
「多幡(たばた)さんと加賀山(かがやま)さんよね?」
なぎさの代わりに名前を呼ぶほのか。
「あなた達も、なぎさにチョコを?」
「はい。」
言って一歩踏み出す、多幡奈緒。
「きっとこのくらいの時間に二人で出てくるんじゃないか、ってひかりから聞いて、
待っていました!」
「すぅ… はぁ… 」
大きく息を吸い、吐き出す。
「美墨先輩、コレ 受け取ってください!」
両手に持った包みを献上するように仰々しくなぎさへ。
「うんっ! ありがとう。」
笑顔を作って受け取る。
「ほらほら…、美羽も~」
言われた加賀山美羽も手にはラッピングした箱を持っていた。
「う、うん。わかってるってば…」
「あの、雪城先輩…。良かったら、もらって下さいっ。」
目を伏せ、頬を染め、おずおずとほのかへ差し出す。
「ええぇ~? 私に?! なぎさじゃないの~!?」
大袈裟に驚いて、なぎさと美羽の顔を交互に見るほのか。
「はい。」
「雪城先輩にですv 先輩は私の憧れなんですv」
「…嬉しい。」
手にしたチョコをまじまじと見、
「私、チョコなんてもらったことないから、とっても嬉しいわv」
柔らかく微笑んだ。
「え? そうなんですか? 美墨先輩からもらったりしないんですか…?」
不思議でしょうがないって顔をする奈緒。
「それがさぁ~、去年ふたりでチョコ作ってたんだけど、結局口移―…」
「わーーー!!」
慌ててなぎさの口を両手で塞ぐほのか。
「!?」
キョトンとする奈緒美羽。
「受け取らないで…その、食べさせてもらっちゃたの。」
顔を赤くして答える。
「そうそうw それからわたしたち…食べさせたり、食べたり、食べられ―…」
「なぎさ。(小声で)ダ メ よ。」
キッと一睨み。
「――っ!!」
息を飲むなぎさ。
「ははは…。冗談だよw」
「わたし達はもう、お互いの気持ちわかっているつもりだし、
あまりバレンタインは関係ないかなぁ~。」
「――え? …そう。そうね。(どうしよう…渡すタイミングが…)」
「…ん? ほのかがもらった物とこの包み紙同じだねv 二人で買いに行ったの?」
包装紙に気付く。
「はい。そうですよ」
「美墨先輩、チョコレート好きだって聞きましたから、
美羽と相談して二人で買いに行きました。味は保証しますよ!」
「仲、良いんだね。」
言われて、美羽と顔を合わせ
「先輩達ほどじゃ、ありませんけどw」
笑顔で答える。
今度は美羽が質問の番。
「先輩達みたいにお互いを本当に信頼して、
何でも話せる関係になるコツってあるんですか?」
「う~ん…、そうね…」
少し遠い目をし、
「やっぱり…。
楽しい時は勿論、辛い時も悲しい時も一緒に居て、励まし合い、
それを乗り越えることかしら。」
実感がこもる。
「なんだか…とても説得力のある話ですね。」
「そりゃあ、わたしとほのかは『ふたりだけの特別な経験をした』からねっ!」
胸を張るなぎさ。
「えぇ~、何ですかぁ?」
「聞きたいw 聞きたいww」
瞳を輝かせて詰め寄る。
「…それは」
「それは?」
奈緒美羽、口を揃える。
(なぎさとほのか目配せして)「「ひ み つ vv」」
「えぇぇ~~~~!」
奈緒美羽の声がハモった。
「ごめんなさいねv」
「でも、あなた達はあなた達のペースでいいんじゃないかしら?」
諭すようにほのか。
「たまにはケンカして、仲直りして、少しづつ…歩み寄って行けばイイんだよ!」
奈緒と美羽の肩に手をおくなぎさ。
「そうですね、わかりました!」
納得した奈緒。
「ありがとうございました。」
素直に御礼を言う美羽。
「えへへ…」
ちょっと照れて
「わたしたち、これからひかりんトコ行くんだけど、二人もどう?」
奈緒と美羽を誘う。
けれど…
「いいえ…。わたし達は」
「エンリョしておきます。」
恐れ多いという風で、断られた。
「そう…。ならしょうがないね…」
「はい。」
「じゃあ…またね!」
手を振り、奈緒美羽と別れる。
「二人とも可愛いわね」
少し歩いてほのかがつぶやく。
「何言ってるのさ! ほのかだって可愛いよ!」
「…そういう意味じゃなくって、以前の私達を思い出しちゃった」
「うん。一緒に色んな所に行って、いっぱい話をしたよね。
ついこの間みたいな気がするけど、ケッコウ経っているかも…」
「そうね…。あっと言う間」
「でも、これからだって一緒だよ。ほのかv」
「ええ、もちろんよ。なぎさv」
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3年前に贈ったモノにすこぉし手を加えています。
基本二人の会話を中心にしていますから、人数が増えると困り気味…。
もっと上手く書けると良いのですけれど…。
もうちょっと続きます。