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雑記、最近萌えたことについての文と、主に三次創作(二次創作物を元に書いた文)を置いていくブログです。
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ほのかの両親となぎさが対面したならどうなるか。
本編で語られることはありませんでしたから、
あれこれ想像し甲斐があるというものです。

ほのかの誕生日話続きです。
文字数3795

「さ、なぎさ。入って」
「おじゃましま~す!」
ほのかに通されて玄関に入ると、すぐに笑顔で迎えられた。
「ただいま おばぁちゃま。」
ほのかの祖母にあたる、さなえおばぁちゃんがそこに居た。
「おかえりなさい。」
柔和な笑みと言葉。
「二人とも、今か今かと帰りを待っていましたよ。」
「ごめんなさい。ついみんなにお祝いしてもらうのが嬉しくて…」
シュンとして肩をすくめる。
「いいんですよ。ほんの少し、思っていたより遅かったものだから」
わたしのせいだ…
「すみません。わたしがほのかを引きとめたんです」
「あら、あまり気にしないでね。ささ、なぎささんお上がりなさい。」
「はい。おジャマします。」
ほのかの後ろをついて行って応接室に通されると、
温かな笑みの二人の姿。ほのかの両親。
キリリとした太い眉はお父さん似。
大きくてちょっぴりタレ目はお母さん似かな?
上座にほのかのお父さんとお母さんが並んでいて、
反対側の下座にほのか、わたしが向かう。
「なぎささん。よく来てくれたね。さぁ、座って。」
ロボットみたいな動きで足をたたみ正座する。
「ほ、本日はお招きいた、いただきありがとうございます…」
噛んだ…。わたし、かっこ悪い…
「そんなに緊張しないで、自分の家だと思ってくつろいでいいんだよ。」
「は、はい…」
そうは言ってくれても体がカチコチになっちゃうよ。
「あの、おか…――母からコレを預かってきました。どうぞ。」
おずおずと手にした紙袋から包みを差し出して手渡す。
「気を遣わせてしまったようで申し訳ないね。よろしく伝えてもらえるかな」
微笑みつつ受け取る。
え~と、それから…
「一年で一番大事なほのかの誕生日なのに、
 わたしなんかがお呼ばれしても良かったんですか?』
一番の不安要素であり、疑問を打ち明ける。
「なぎさ?」
動揺を湛えた瞳でわたしを見詰めるほのか。
「いいとも、いいとも。なぎささんのことは、よぉ~く聞いているよ。」
「ほのかからの電話も手紙も、なぎささんのことばっかりなんだ。」
「こうして会いに来てくれて、とっても嬉しいよ」
握手を求められてもおかしくないような満面の笑み。
「今日はなぎさとこんな話をしたとか、どこへ行ったとか…。」
「あまりにたくさん話を聞くものだからね、
 まるでずっと前からよく知っている気になるくらいで…。」
「お父さん! …その話はしないで」
真っ赤になって拗ねるほのかは子供みたい。
「ははははっ。でも、本当のことだろう?」
「…うん。」
安心した。
真面目で誠実そうなほのかのお父さんだから、厳しい人だろうと緊張してたけど、
娘を信頼して心から愛しているパパなんだなぁ。
肩の力が少し抜けてくる感じがする…。
「私もなぎささんに会えて嬉しく思っているのよ」
線が細く優しそうなほのかのお母さんが加わる。
「ほのかちゃんから、なぎささんのこと聞いてるのは本当なの」
「いつも前向きで、周りの人を笑顔にさせる。」
「おっちょこちょいだけど頼りになる。」
ほのかのお父さんが続ける。
「スポーツは何でもこなせて、ラクロスしている時が一番輝いている。」
「クラスのどの男子よりもカッコイイ。」
「待って、ダメ! 恥かしいから…」
慌てるほのかを横目に止める気配は無い…。
「一緒にいるとすごく楽しくて、元気になれる。」
「チョコレートが大好きで、美味しそうに食べる姿がとっても可愛い。」
代わる代わるまるでほのかの手紙を読み上げているみたい。
「なぎさにお願いされると嫌とは言えない、とも書いていたわね。」
「お父さんお母さん! もうッ …いいでしょ!」
耳まで赤くなったほのかは声を張り上げる。
あんまり見たことない、感情を露にしたほのか。
「しょうがないなぁ…」
顔を見合わせる両親。
「わたし、もっと聞きたいです」
ハッキリキッパリと口に出し、立候補でもするみたいに手を上げる。
「な~ぎ~さぁ~!」
完熟トマトさながらの顔して汗かき、恨めしそうな顔で詰め寄るほのか。
「だってさ、すっごく嬉しいんだもん。ほのか、そういう事言ってくれないし…」
「そうかも… しれない…けど、恥かしい――わよぉ」
俯いてしまう。
「そういうことなら続けるよ!」
このお父さん、ノリノリである。
「二人ならどんな事があろうと乗り越えられる。」
嬉々として話すお母さん。
「本当に大切な、かけがえのない存在。」
「このままずっと一緒に居られたらいいなぁ――って、よく書いてたよ。」
「あぁん! ――もうっ なぎさの前でそんなことまで言わないでぇ~~」
「ホントになんでそんなに覚えてるの?」
ほのかが不思議がるのもわかるかも。
「そりゃあ、ほのかからの手紙は何度も読んでるわけだし、
 素敵な内容だから覚えもするさ」
「ほのかは勉強も出来るし、家事でも何でも一人でこなせるから、
 本当に手が掛からない優等生だと思う」
「でもその分、一人で抱え込みやすいんじゃないかと心配なんだ」
「元気に振舞って、あんまり暗い話題を口に出さないところもあるし…」
言葉を区切り、真っ直ぐに娘の顔を見る。
「それは――…」
言いよどむほのか。
「私たちは、ほのかが落ち込んだ時に抱き締めることもできない。」
「悲しみにくれた時に涙を拭ってあげることもできない…。」
「そばに居られないから、そのことが一番辛い。」
「悔やんでいるんだ。」
目を伏せ、心痛な面持ち。
「お父さん…。」
日頃話に上らない胸に秘めた本当の気持ち。
心配させまいとするから、余計に不安にさせてしまうことも間々あること。
「大丈夫よ。私にはなぎさがいる!」
微笑み、ほのかの手がわたしの手に重なる。
「なぎさは私の大切なヒトなの」
「いつもわたしのことを想ってくれて、何があっても手を離さないでくれる」
「なぎさが側に居てくれるから、なんにも不安はないわ」
――ほのか。二人きりだったら抱き締めてキスしていたところだよ!
「おばぁちゃまや忠太郎。ひかりさん、ユリコや他の友達だっている。」
「私、寂しくなんてないし、今とても幸せよ。」
「心配しないで」
強がりなんかじゃない笑顔がそこにあった。
「ほのか…」
目を潤ませ
「おかあさんにほのかを任せっきりで、いつも申し訳なく思っていたけど、
 ほのかは立派に成長しているんだね。安心した。」
「なぎささんのような心から信頼できる、素敵な親友ができて本当に良かった。」
ほのかのお父さんの大きな手がわたしの両肩に乗る。
「どうかこれからも、ほのかを頼みます。」
ほのかのお母さんに頭を下げられ
「ほのかをずっと支えて欲しい。お願いします。」
真摯な眼差しから熱意が溢れ、心の奥底にまで真っ直ぐに届く言葉。
衝撃的ですらあった。
有難く 重く 温かく わたしにはもったいな過ぎる言葉。
泣きたいくらい嬉しい。
ほのかと歩んでいくことを許してもらえたのかな。
『親友』というのが気にならないこともないけれど、些細な事。
わたしの中に沸々と湧き上がる想い。
一つの決意が生まれた。
ココで言わなくちゃいけない。
ほのかの両親に伝えたいことがある!

ほのかの指にわたしの指を絡めて強く握る。
「お義父さん。ほのかにはわたしがついています。」
「どんな悲しみや苦しみからもきっと護ります。」
「わたしが必ずほのかを幸福にします!」

根拠なんてドコにも無けりゃ、わからないことだらけ。
それでも大丈夫と思える確信がある。
絶対に諦めないガッツとみなぎる勇気は誰にも負けない。
言って、清々しい満足感に包まれた。
「――なぎさ。…そんなvv」
口元に手を当て、瞳をウルウルさせるほのか。
「あらあら…、なんて心強い。」
ほのかのお母さんは好意的に受け取ってくれた。
「ははは、それなら安心できるね!」
ほのかのお父さんも感心した様子。
「なぎさっ… それじゃあ、まるでプロポーズよ」
嬉しさと恥ずかしさを胸の内に同居させて、もじもじと赤面のほのか。
「えっ? あれ!? そう…なるのかな?」
とんでもない決意表明をしてしまったかも。
「そうよ。――でも、とっても嬉しいわv」
「最高のプレゼントをもらっちゃったvv」
こんなほのかの素敵な笑顔をすぐそばで見られて
ずっと一緒に生きていけたなら、これ以上の幸せはないよね。
「うふふ…。さぁ話が一段落したところで御飯にしましょう。」
にこやかな笑みで切り出す、さなえおばぁちゃん。
「ほのか。料理運ぶの手伝ってくれる?」
「はぁい。」
「わたしもします。させて下さい!」
腰を浮かせるほのか。
続くわたし――のつもりが、カクッとバランスを崩して転がってしまう。
情けない事にヒザから下がシビれて立てない。
緊張してたせいもあるのかな…。ありえなぁ~~い!!!
「お客さまですし、なぎささん。楽にしていてね」
優しさがイタイよぉ…
運ばれてくる品を配膳だけでも手伝う。
眺めているだけでお腹が鳴ってしまいそうな家庭的な日本食。
立派な鯛の蒸し焼き。天ぷら、お刺身、煮物、菜の花のおひたし、お赤飯etc
家族揃い、腰を落ち着かせると
「ほのか誕生日おめでとう! バースディケーキは食後に用意してあるから。
 乾杯しようか、グラスは持ってるね――」
「ほのかの健やかなる成長となぎささんの活躍。みんなの末永い幸せを祈って― 
 乾杯!!」
グラスを掲げ、和やかで温かい空気に包まれる。
「なぎささん、たくさんありますから、遠慮せずに食べてくださいね」
「はいっ! ありがとうございます。いただきま~す!」
笑顔が一杯。
今日は来て本当に良かった。
おめでとう ほのかv


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は~い。お待たせしました…。
起、承、転、結の『承、転』にあたる話です。
つまり、この後に『結』の話と後日談があるんですよ(笑)。
それは… いつUPできるんでしょう?
ゆっくり、お待ちくださるとありがたいですw

2つに分けても良かったなぁと今更思えたり…。
 

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